責任.2

以前、当ブログ内にWinnyの開発者に出された求刑の話を元に、大人の責任の取り方ってどう言う事かについて語ってみた事がありました。

コチラ

アレを書いた当時も、自社の製品のエレベーター事故に対するシンドラー社の対応や、最近ではパロマの給湯器の事故に対する会社側の態度に対する怒りが世間を賑わし、実際私も憤りを感じていました。
特にパロマに対しては、同様の事故を起こしたファンヒーターに対して、社運を賭けて行った謝罪や回収作業を行ったナショナルと比べてみても、“責任を取る”とは如何なる事かを改めて考えさせられたものです。

さて、先の記事の中で私はこの話、“全く別ジャンルで絡めてみたい事があった”と書いています。
シンドラー社やパロマも勿論そうなんですが、私が絡めたかったのは実コチラの話だったんです。

銃刀法改正について

銃刀法云々なんて言うと何だか仰々しくて物騒ですが、つまりはエアーガンやガスガンにおける基準が厳しくなったって事なのは、リンク先を見ていただければお分かりいただけるかと思います。
以前からちょこちょこと語ってますが私は鉄砲好き人間でもあり、実際ガスガンやモデルガンも結構な数を所有していますが、今回のこの改正は喜ばしい事だと思ってるし、業界としてもむしろ歓迎しています。
なんで規制が厳しくなるのに業界が歓迎してるのかって思われるでしょうが、実はそこがポイントでもあるんです。

この改正の直接の引き金になったのは、今年の初め頃に実銃にも迫る威力を持つ程にまで不正改造されたガスガンによる発砲事件が頻発した事で、ニュースや新聞でも一時期大きく取り上げられたのでご記憶の方もおられるでしょう。
この事件の背景にはインターネットによる改造法の紹介やパ-ツ販売なんかが絡んでる辺りも見逃せないんですが、それを言い出すと話がこんがらがるので取り敢えず横に置くとし、この一連の事件に使われた改造ガスガンの元となった製品が、とある一社の物に集中していた事、ここが重要なんです。

モノがモノであるが故、実際この事件以前にもエアガン、ガスガンによる乱射事件や犯罪は宿命的と言っていい程存在したし、その時々に規制が強化されたり、世間からの白い目に堪えながら、それでも一部のマナー無い人間によって繰り返される同様事件に一番頭を傷めていたのは他でも無いマニアやメーカーであり、業界そのもの。
だからこそ業界は各メーカーが集ってASGKと言う協会を作り、必要以上のパワーを持たない、不要な改造や不正な改造やパーツの装着で、銃そのものが故障する様に敢て複雑な構造にする等の対策をとってきましたし、サバイバルゲームや競技会等での決められた場所とルール内のみ、または個人でのコレクション以外での使用をしない様に呼び掛ける事にも勤めていました。

ただここで問題になるのは、この協会はあくまでもメーカー同士が横の繋がりで作った物であり、公的な物では無い事。
故にここでの取決めも、あくまで協会内で取り決めた“自主規制”であり、法的な強制力も無ければ罰則が課せられるものでも無かった事なんですね。

さて、問題の製品の製造メーカーですが、このメーカーは実はこのASGKには加入していませんでした。
先に書いた様に、あくまでメーカー同士が自主的に作った協会である為、加入自体が義務付けられる物では無い為、加入しないからと言ってASGK側からそれを強制したり、法的な処置をとる事も出来ない訳です。
そしてこのメーカーは、ノーマルの状態でも業界内の自主規制を大きく越えたパワーを持ち、更に報道された様な危険極まりない威力を持つ物に改造するパーツを容易に組み込める構造を持った製品を造り続けてた訳です。

マニアとかファンの視線で考えれば、それがイケナイと分かっていても、ついそう言った商品に目が行ったり手が行ったりする気持自体は私も正直分からなくはありませんが、それが意味する物を考えればそれを抑えるのが“理性”と言うもの。
それでも、その“一線”を越えてしまう人間も出てくるのもある意味仕方のない事とも言え、それが分かった上でそう言う商品を売っていたメーカーやショップはもはや“確信犯”と言わざるを得ません。
しかし、この事件が騒がれた時にこの当該メーカーの社長の言った言葉は概ね以下の様な内容でした。

“ウチの商品が犯罪に使われたとしたもそれを起こしたのは人間であり、ウチの商品が悪い訳ではない。
ウチの品物が売れているのはそれだけ優れた製品であるからであり、その事で私が犯罪を犯した様な言われ方はむしろ迷惑である”


さて、ここまで来れば何故私がこの件をWinnyの件と絡めたかったか御理解願えると思えますが、この社長の言い分ってあのWinnyの開発者の言い分とソックリなんですよね。
一見筋が通ってる様に見えても、実は単なる理論のすり替えと責任転化でしかない。
結論として、あくまで自分を正当化してちゃんとした社会的責任をとる気持は更々無いのがこの言葉からありありと伺えます。

しかし、残念な事にこの事件の場合は確かに裁かれるのは実際に事件を起こした人間や、不正改造用のパーツを売った者達で、実際にこの社長自身やメーカーを法的に裁く所までは行かない様で、この事件に使われた商品はショップやマニア達の間で不売、不買の気運は高まったものの、今でもネットショップやオークション等で平然と売られているのが現状です。

だからこそ、今回の法改正で規制が厳しくなる事、売買したり所持したりする商品の威力の基準を法的にハッキリさせる事は、何かが起きた時に責任の所在を特定する事にも繋がるし、悪質なメーカーに対する抑制にもなる為、今まで“自主規制”に頼らざるを得なかった業界にとっても喜ばしい事になる訳です。

スイマセン、関心の高い事柄な為にちょっと長々と書いてしまいました(^^;

Winnyの開発者にしても、このガスガンのメーカーにしても、またシンドラー社やパロマにしてもそうですが、今の日本や日本人って総体的にこういう責任の所在や、責任のとり方ってのが余りにも曖昧でいい加減になってる様な気がします。
何よりも、もし何かがあった時に酷い場合は被害を被った方が“自己責任”を課せられたりする事があるのはどうにも納得がいきませんが、こう言った風潮には“インターネット”のマイナス面の影響もある気がしているのは私の考え過ぎでしょうか?

なんか、妙に堅苦しい話を延々と書いてきちゃいましたが、こういう事をこう言うニュースや時事を通して考える事で、自分自身も含めて見つめ直してみるのも大切かなと思い、記しておきたいと思いましたので・・・・

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この記事へのコメント

2006年07月31日 13:13
 バイク好きの方が、「大きな車種に乗っているのは皆暴走族みたいな目で見られる」と言っていました。しかし、実際はきちんと法規を守り、バイクを愛している方だって多い。むしろ、苦労して限定解除教習を突破している人はバイクに汚名は着せません。
 その対象(銃、バイク、そして自社製品)に愛があるなら、その使い方・使われ方に対して関心を持つのは当然と思います。ただ、その関心をどこまで行き届かせるべきかという線引きが難しいのでしょうね。
 よくまとまらないけど、責任というものに対する最近の風潮には考えさせられることが多いことは確かです。
2006年08月01日 22:11
tomoko様、まさにその通りなんです。
ワザワザ壊れた耕運機みたいな音の出るマフラーを着けて深夜の住宅街を我が物顔で走る連中が本物のバイク好きとは思えません(^^;
企業の責任感の無さもそうですが、そう言った一般人のモラルも明らかに低下しています。
だから“自分も含めて”考え直さないとなって思う訳です。

話が違う方向に行くので本分では触れませんでしたが、例えば“お国”からして国民の血税を湯水の様に無駄遣いした挙句、その“ツケ”を更に国民に払わせようとし、“あまつさえ”自らは何の責任も被ろうとしない・・・
ホント、“許せん!”ですよ(苦笑)
2006年08月01日 22:35
今の日本とかインターネットという以前に、水俣病なども含めて責任逃れする傾向は過去にもあったと思います。政府にしても企業にしても、訴訟に持ち込まれた場合、日本に限らずすぐに「はいそうですか」と謝罪&保障するというのは難しいのかも。勿論モラルとしては間違っているのでしょうけど。
銃刀法に関しては、当該商品(原型)の使用目的が基本的な部分で生物の「殺傷」にあることから色々とややこしい面があるかと思います。是非関係各所(勿論ユーザーの方々も含めて)で倫理に則った取り扱いをお願いしたいですね。yas様のようにきちんと責任を自覚されて純粋に趣味として楽しんでいらっしゃる皆様のためにも。
2006年08月03日 00:14
>つ様
うん、確かにその通りなんですが、だからこそ考えなきゃって事が言いたい訳ですよ。
訴訟がなんだとか言う難しい話以前に“やってはいけないこと”がまかり通ってる事例が余りにも多すぎるんでね。
“以前からある話”って言っちゃうと、そこから話進まないよって一面もあるんじゃないかな?

それを置いてしても、報道なんかが一部煽ってる側面を差し引いてもやっぱり最近の政界や企業や個人を含めた社会全体の責任放棄やモラル低下は目に余る物があります。

それを広げるのに“インターネット”のマイナス面も一役買ってる部分はやっぱりあるって、私は思いますよ。
例えば、件の違法な改造法やパーツが社会問題になる程までに広げたのはインターネットなのは事実ですからね(それ以前もこう言う事例はあったけど、ネット普及前とは桁違いに数が多いんですよ)
銃好きやバイク好きがモラルやマナーを守らねばならないように、ネットを使う物もそう言うインターネットの“暗部”を自覚しながら、使い方を誤らに様にしなきゃダメです。

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