ウルトラマンメビウス.44話

ウルトラマンメビウス
第44話「エースの願い」脚本:長谷川圭一 監督:小原直樹

今回は見所の多い回でしたね!
ともすればバラバラになりかねない複数の要素を、30分の枠の中でよく破綻させずに纏めたものです。
やっぱこの辺りは「ウルトラマンネクサス」で、あの“神”の如き最終回を執筆した長谷川圭一氏の底力と言うところかな?

けど、オールドファンにとっての一番のプレゼントはやっぱり“北斗と南の再会”だったでしょうね(^^)
「メビウス」は、かつてのシリーズが“大人の事情”で残してしまった“シコリ”を、優しくほぐしてくれる様で、別の意味で罪な作品ですよ(苦笑)
しかし、自分的に一番“キタ”のは実はエースの“イィヤァア~!”の掛け声が“納谷悟郎”さんのオリジナルだった事なんですが(苦笑・・・てか、やっぱエースの声はアレですよ!)

>廃虚の街、荒廃の心
ミライ君達が気づいた時、周りに拡がっていたのは広大な砂漠と廃虚と化した街々・・・

自分達が意識を無くしてる間に日本も世界も滅んじゃったと勝手に思い込んじゃってるヒルカワさん、普通に考えれば、ミライ君が言う様にそんな短時間で世界が滅ぶはずがないし、第一そんな事が起たなら自分らだけが無事でいられる訳がない。
しかし、元々“イッちゃってる人”な上に輪をかけてテンパってるもんだから、冷静な状況判断など出来る筈もなく、あろうことか怒りの鉾先をミライ君に向け、GUYSの隊員である故に一般人に手出しは出来ないだろうと踏んだ上で、傷ついて弱ってるミライくんを殴る蹴る、ダメ押しにツバを吐きかけるという、暴挙の数々・・・

ずる賢くて身勝手で、とことん見苦しい醜態を晒すヒルカワの姿は、ドラマ的に見れば典型的な悪役である一方、これも人間の本性であるのもまた事実。
思えば「ウルトラマン」の冠を持つ番組って、昭和、平成を通してこういう人間の“負”の部分を描く事もひとつのテーマとして常に内包していて、それが最も顕著なカタチで出たのが“あの”「怪獣使いと少年」であり、ヒルカワの姿は、あのエピソードの不良達や町の人々の姿と重なります。

番組開始以来、基本的に“いい人”揃いだった「メビウス」に、ここに来てウルトラを構成す大きな要素のひとつと言える“人間の本性”を体現したかの様なヒルカワの登場は、スタッフがこの「ウルトラマンメビウス」という作品を、あらゆる方向から“ウルトラマンの集大成”に昇華させようとしている事を感じさせます。
そのヒルカワを演じるのが、平成以降のウルトラの中で最大に邪悪な存在であった“ダークザギ@石堀”を演じた加藤厚成君だと言うのも、そう考えれば“狙って”のキャスティングなのかも知れません。
尤も、アレに比べればヒルカワは随分と小者ですけどね(笑)

>彼方よりの声
月面に不時着したフェニックスネスト、機能停止の原因はやはり時空波の発信元である謎の石柱から発生する干渉フィールド。
使用できるメカはガンスピーダーのみ、しかしその軽装では到底石柱は破壊出来ない。
八方塞がりかと思われた時、マリナの耳に届く謎の声は、ガンスピーダーでギリギリまで接近して干渉フィールドの発生ポイントを破壊すれば、フェニックスネストの機能は回復し、石柱を破壊する事ができると告げる。
地球から月を見上げるひとりの男・・・マリナにその言葉を送る謎の声の主は“北斗星司”!

・・・・て、ハッキリ言って燃えシュチュエーションなんですが、捻くれおやぢヲタとしてはなんで北斗の声がマリナに聴こえたかって辺りをちゃんと説明してくれなかったところは、東○作品と違って(失礼(^^;)この辺りの理屈づけには結構こだわる平成ウルトラらしくないなと、ちょっと突っ込みたかった(苦笑)
いや、確かにマリナさんには常人を超えた超聴覚があるって設定はありますが、超聴覚とテレパシーとは根本的に違うものなんで、“ウラシマ効果”なんてマニアックなSF概念持ってきた位なのに、もう少しそれらしい理屈づけ考えてほしいな、なんて思っちゃったんで(^^;

例えば、北斗の声が実際に月にいる夕子を介した何らかの方法でフェニックスネストに届くとかならばまだ納得できるし、ラストシーンのあのやりとりも更に生きてきたんじゃないかなぁとか、シロウト的にも感じちゃうんですよ。
ただ、確かにその辺はあんまり理屈っぽくやると話や演出のテンポを却って損なう事にもなるし、違った面でぼやけちゃう部分も出てくるのも確か。
ここは実際に出来上がったものを無理矢理でも納得して楽しんじゃうのが正しい観方ですかね(^^;

>交換条件
姿を現わした黒服男@ヤプールにアッサリ捕まった挙句、命を助けると言う交換条件で何の躊躇いもなくミライ君に銃を向けるヒルカワ。
“人間のプライドを捨てるくらいなら死んだ方がマシ”と、銃口からミライを庇って立ちはだかるアヤさん(実は今回一番カッコイイのはこの時の彼女だったりする。さすがアバレイエロー!)にすら、容赦なく引金を引くヒルカワはもはや外道畜生の領域です(^^;
そんなアヤさんを守るため、人間の姿のままでバリヤーを発生させて銃弾を防いだ姿に恐れおののき、それでもなお手を差し伸べようとするミライを“化物”呼ばわりして拒絶するヒルカワに、さすがのミライも失望の色を隠せない・・・

この一連のシーン、それこそ「ウルトラマンネクサス」だったら全く違和感無く受け入れられたシーンかも知れないけど(・・・(^^;)、正直「メビウス」でこういうシーンが出てくるのは予想外だったんで、その意味では「ネクサス」で同様シーンを見るよりはショックが大きいかもしれない(^^;

このシーン以降もヒルカワさんは畜生街道まっしぐらな訳ですが、そんなヒルカワですらミライ君=メビウスは守ろうとする・・・・・・・何故?
これこそ、“何故ウルトラマンは地球人の為に戦うのか?”と言う「ウルトラマン」と言う40年に及ぶシリーズそのものの根幹や本質に迫るもの。
それを“綺麗事”に収めないためには、ヒルカワが徹底した“本性むき出しの人間”である必要があるんですね、多分(ハリウッド映画とかならまっ先に死んでるタイプだけどね(^^;)

色々情報見てみると、ミライ君は今後も更に絶望の淵に追いやられる模様。
しかし、そんな人間の善の部分も悪の部分も知り、それを乗り越える事もまた、本当の意味で“ウルトラマン”になる為に必要な試練。
そうやってミライ君が1人前のウルトラマンとして完成する事が作品としての「メビウス」の着地点のひとつになると思うので、彼の辿り着く先を“兄さん達”と一緒に見守りたいものです(^^)

>無力なウルトラマン
ヒルカワの醜態を目の当たりにしても、なお人間を守るために戦う決意を見せるミライに、遂に正体を見せるヤプール!・・・は、いいんだけど、清水紘治さんの演ずる人間体は物凄く重厚な“悪”の存在感に満ちてたのに、正体見せた途端に下品な小悪党みたいになっちゃうのは何故だ!?(^^;
てか、お約束とは言えここでこれが“罠”だった事や、メビウスとGUYSを分断した理由や目的をベラベラ得意げに喋っちゃう辺り、“お前らはそんなんやから何十年経っても勝たれへんのや”と言いたくなる(笑)

しかし、メビウムダイナマイトのダメージが残る身体で、ヒルカワみたいな人間の姿を見せつけられ、更にGUYSの仲間の援護の無い状況、その上元々の素直すぎる性格(・・・(^^;)も災いしてか、こんなヤプールのヘボな口車にまんまと言い包められるように、勝機を掴めぬまま追い詰められていくメビウス・・・・
確かにミライ君=メビウスの力の源はGUYSの仲間達との絆である事は間違いないけれど、正体を明かす前は他のウルトラマン同様に孤独な戦いをしてきた訳だし、第一普段のミライ君ならこんな状況でも仲間達との繋がりを見失って自ら立ち上がる力すら失うなんて事はない筈。
それほどに、ヒルカワみたいな人間の存在はミライ君にとってはショックだったって事か?
あれか、免疫のない思春期のボーヤにイキナリ裏ビデオ(しかも無茶苦茶“コア”なヤツ)見せた時のショックみたいなもんか?(←ゼッテー違う!!!)

アヤさんの“君は私のナイトなんだから”“ウルトラマンは絶対負けない”って叫びも、ヤプールの攻撃にかき消され、遂に倒れるメビウス・・・!!(因みにこのシーンで、ナパーム爆破の中を歩いて来るアヤさんが一瞬らんるに見えちゃったのは内緒だ!(^^;)

>月を滅ぼせし者
北斗のアドバイスに従い、干渉フィールド破壊の為にガンスピーダーで発進するリュウ、ジョージ、マリナ!
そこに石柱を守る如く出現する“超獣ルナチクス”!
ここで例によって“ルナチクスだー!”って叫ぶテッペイ君が若干嬉しそうに感じるのは気のせいかな?(^^;

ルナチクス出現と同時に北斗がエースとなって飛ばないのもミソ。
メビウスの事があるのも勿論なんだろうけど、ここには人間がギリギリまで諦めないで頑張った時こそ、初めてウルトラマンは力を貸してくれるんだって意味も含まれてるのでしょう。

>お前は独りじゃない
力を失い、倒れ伏すメビウスに届く北斗の声。
例え、現在この時は離れ離れだったとしても、メビウスが苦しい戦いを強いられてる同じ瞬間、仲間達もまた追い詰められた状況で必死に戦っている。
別の場所に居たとしても、心は常にひとつに繋がっているのだ・・・

それを、自分と夕子との繋がりに例えてミライに伝える辺りは、物語の構成的にも上手い繋げ方だと思いますが、やはりここで先ず最初にオールドファンにとっては胸にグッとくるものを感じずにはいれません。

考えてみれば北斗と南の関係ってのは、他に例え様の無い特別なものだと思うんですよ。
恋人とか、夫婦とかいった男女の関係でもなければ、友達とか相棒とかいうのちょっと違う気がする。
「ウルトラマンA」の劇中での“月の妹”も、今回例えられた“仲間”ってのも、自分的にはなんかしっくりこない。
文字通り性差を超えた、互いに“魂”を共有する・・・正に“魂のパートナー”ってのが一番ピッタリくる気がする。
だからこそ、互いに遠く離れてしまっても北斗は夕子といつも一緒に戦ってると感じることができた・・・

「ウルトラマンA」の後半、北斗の単独変身になった本当の理由はやっぱり“大人の事情”でしかないけれど、少なくとも画面の中の北斗の心にはいつも夕子がいたし、本当はずっと2人で戦ってたんだという事を、ラストの夕子の言葉共々、北斗自身の口から聞けた事・・・これはやっぱ嬉しかったですよ!(^^)

故に、そういった“魂が繋がった存在”であるGUYSの仲間達が戦ってるのを感じれたミライは力を取り戻す事ができたし、バーニングブレイブになる事もできた訳ですよ。

>ぼくらのエース
GUYSのみんなが力を合わせて干渉フィールドを破壊し、復活したフェニックスネストが石柱破壊の為に飛び立った時、満を期したかの様にウルトラマンエースに変身し、月に飛ぶ北斗!
“ウルトラマンエースだぁあ!”って子供みたいに喜ぶテッペイ君は、視聴者のおぢさんやおばさんの気持を代弁してるみたいです(笑)

月でのルナチクスとエースの戦いはなんかレオや80の時以上に“分かってる”演出で、これもちょっと嬉しかった(^^)
なんて言ってもちゃんと“納谷悟郎”さんの声で“イィヤァア~!”をやってくれたのは痺れちゃったし、戦闘パターンとかアクションも実に“エースらしい”ものだったのは良かった!
欲を言えばBGMも、登場ファンファーレ“ジャ~ン、ジャンジャ~ン”から戦闘BGM“チャチャチャ~チャチャチャチャチャチャチャ~チャチャチャチャ~”で、ルナチクスが目玉爆弾飛ばしてきたのを回転して避ける辺りでピンチBGM“ジャジャジャジャ~ン、ジャンジャ~ン、チャララララ・・・”って、やってくれたらもっと燃えたのになぁとか思うけど、さすがにそこまではムリか(^^;

フェニックスネストが石柱を粉砕する中、上体を振りかぶってメタリュウム光線発射でルナチクス粉砕までの月でのシーンは、一瞬「ウルトラマンA」の1シーンを見てる錯覚を感じました(^^)

>偉大なる皇帝
月でエースがルナチクスを倒した頃、メビウスも必殺のメビウムバーストで漸くヤプールを倒す。
ちょっと今回のバトルは全体的にエースに持っていかれちゃったキライはあるけど、今回のミライ君はここまで散々だった分、この逆転劇は素直に燃えシュチュエーションとして成功していたと思います。
最後に“偉大なる皇帝”の存在を示唆し、殆ど吉本新喜劇の“今日はこれ位にしたるわ!”に近い負け惜しみ吐いて爆発するヤプールに、思わず吹いてしまったのはわしだけでしょうか?(^^;
けど、あの時一瞬虹色の異次元空間(「ウルトラマンA」のOPの影絵のバックみたいな感じのヤツ)みたいなのが見えたんで、またしつこく出て来るかも知れんですよ。

>変わらぬ願い
元の世界に戻れて喜ぶのも束の間、ミライの正体を知ってしまったヒルカワは“黙っているつもりはない”と、不敵な笑いを浮かべて去ってしまう・・・
恐らくヤツは“ある事ない事”色んな尾ひれをつけて公表しちゃう気でしょうが、その事よりも結局自分の気持がヒルカワには通じなかった事がミライ君にとっては辛い事だった様です。

だからこそ、そんなミライ君に“エース兄さん”は“あの言葉”を伝えるんですよ。
「優しさを失わないでくれ・・・」
「例えその気持が、何百回裏切られようと・・・」

かつて自分が地球を去る時、子供達に残したあの言葉・・・
思えばあの最終回、自分がどうすればいいのか苦しんでいた北斗に道を示してくれたのは他ならない夕子でしたっけ(かなり逆説的ではあったけど)
あの言葉は北斗の言葉であると同時に実は夕子の言葉でもあったと考えれば、今苦しんでいるミライ君に北斗がそれを伝える事の意味に、更に奥深いものを感じます。
嗚呼、今回はなんて素敵脚本なんだ(^^)

>ずっと近くに感じていた・・・
北斗と南の再会・・・
ここは、それこ今まで書いてきた今回のこの感想と同じ位の分量の文章になっちゃいそうなほど、本当に色々と書き連ねたい事が次々と浮かんでくるんですが、敢えて多くは語らない事にします。

北斗と南が、ひとつの画面の中に向き合っている、ただそれだけの事がどれほどオールドファンにとっては嬉しい事か・・・
北斗がそう感じていた様に、自分もまた星司さんを近くに感じていたと言う、夕子さんの言葉ひとつひとつ、それを見つめる北斗の眼差し・・・もう、それらが全てですよ!

そして、幾年月を越えて再び重なりあう2人の掌・・・大袈裟かも知れませんが、生きてて良かったとさえ感じれる瞬間でした・.・つ▽ヽ)・.・

>僕は彼方のナイトですから
北斗と南のシーンが余りにも美しい分、こっちが霞んじゃってるのはちょっと気の毒な気もするんですが、ミライ君に悪戯っぽく“チュ”ってやるアヤさんと、狼狽えるミライくんの図は単純に微笑ましくていいです(^▽^)
あの“チュ”は、打ちひしがれてるであろうミライ君の心を少しでもほぐす事にはなったろうし、多分アヤさんもそう思ってやった事(勿論、自分の“想い”も入ってるでしょうが)
中々ハードな展開だったこの回を締めるには、とても安らぐシーンだったと思います(^^)


アクションヒーローシリーズ ウルトラマンA
アクションヒーローシリーズ ウルトラマンA

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック